独自の食材や加工方法を用いた食品が数多く沖縄には存在しています。
中でも珍味として注目なのが、島に住むヤギを使った料理と、
島独自の製法によって作られる豆腐である「豆腐よう」という食べ物です。
肉料理といえば、琉球豚を用いた豚肉料理ですが、
高級食材として特別な日にのみ使われてきた豚肉に対し、ヤギ肉の料理は農民にとって
日常的なタンパク源の補給に用いられてきた庶民的な食材となっています。

ヤギは草だけで生育できる非常に手のかからない動物なので、
農家のほとんどが日常的に飼育をしていました。
ヤギ料理のことを島の言葉で「ふぃーじゃーぐすい(ヤギの薬)」といいます。

ヤギ肉は豚肉のように塩漬け保存はされることはあまりなく、
一度屠ったときには一族全員で残らずその日のうちに食べるというのが通常の方法です。
ヤギ料理として代表的なのはヤギ汁として食べる方法で、夏の暑い盛りの時期に
大勢で集まって熱いヤギ汁をすすって食べることで精をつけてきたといわれます。
また、ヤギは皮付き肉の状態で半煮え状態にして軽く表面を焼き、
刺身のように細かく切って食べるという調理方法にも使われています。
他にもヤギの血を使って血いちりーを作ったりと、
普段あまりヤギ肉になじみのない私たちにとっては実物を前にしないと
味も形も想像ができない料理方法が数多く伝えられているのです。

一方豆腐料理ですが、これも島に住む人のタンパク源として古来より重宝されてきた食材です。
沖縄の全7地域全てで豆腐を使った料理は家庭の定番となっており、
ちゃんぷるー(炒めもの)やんぶしー(ごった煮)などの料理には
欠かさず入れられるものとなっています。
最も手軽な豆腐料理が「ゆし豆腐」で、これは豆腐の真ん中に穴を開け、
そこに味噌と豚油を入れてぐちゃぐちゃに混ぜて食べるというシンプルなものです。

また独自の豆腐料理として、「豆腐よう」といわれるものがあります。
豆腐ようとは、中国における「腐乳」に非常によく似た食べ物で、米麹を泡盛に浸けたのちに
すり鉢でつぶし、どろどろの状態にしたところで塩や砂糖を入れて味を整えます。
そのつけ汁に2、3日陰干にしたあと泡盛で洗った木綿豆腐を漬け込み
2ヶ月程度放置しておくと発酵により、チーズのような風味の食べ物になります。
この独特の珍味は、味も個性的ながら非常に高い栄養価があることが特徴となっています。
毎日の生活に手軽に重要な栄養素を取り入れられるようにした先祖伝来の工夫が、
沖縄の郷土料理からは感じとることができます。