直木賞候補にもなった話題作

沖縄の石垣島が舞台になった小説といえば「風車祭」が有名です。
風車祭とはカジマヤーのことで、9月7日(旧暦)に97歳になったことを祝います。
この年齢になれば子供に戻るという言い伝えがあり、風車を持った人を車に乗せてパレードを行ない、皆で盛大にお祝いするという一大イベントとして知られています。

現在では盛大に行われるお祝い行事とされていますが、明治頃までには模擬葬式という位置付けで、死に装束をまとって集落にある7つのカジマヤー(四辻)を回ったとされています。
物語に登場する地名は石垣島に実在するところがありますので、実際に石垣島を訪れた際には小説の内容と照らし合わせながら観光を楽しむのもおすすめです。

参考:美ら島物語 「風車祭 カジマヤー」池上永一著をたずねる。

登場人物とあらすじについて

来年には待ちわびた風車祭を迎えようとしているフジは、長寿に対して凄まじいほどの執着を抱いていました。
娘のトミに対して常に小言を欠かさないことを健康の秘訣としており、常に刺激を求めることが必要だと考えていました。
自分が長生きするために刺激を得るには、他人を不幸にしたって構わないとさえ思うほどです。

そんなある日、フジの何か刺激が欲しいという自分勝手な企みにより、高校生の武志が妖怪火を目撃してしまいマブイを落としてしまうのです。
妖怪火とはマゾームノーナのことで、魔物(マジムン)の火なのです。
これを直接見るとマブイと呼ばれている魂を落としてしまうことになります。
長期間に渡ってマブイを落としたままでいると、神様からこの世に生きている意味が無いとみなされて命まで落とすことになります。

しかし、武志が目撃した妖怪火は魔物ではなくてマブイの姿のままさまよい続けているピシャーマでした。
ピシャーマは228年前からさまよい続けている存在で、当時は自分の婚礼のためにお婿さんの家に向かっている途中に花嫁行列を抜けた際に気を失っていつの間にか石になっていたそうです。
それから数年後八重山地震で発生した明和の大津波によって石が砕け散り盲目になってマブイの姿でさまよい続けているとのことでした。
儚げな印象を持つキレイなピシャーマに魅せられた武志は恋をしてしまい、自分自身がマブイを落としているのにピシャーマの願いを叶えようと奮闘します。

また、武志に恋をする妖怪豚のギーギーも登場します。
ギーギーは目が見えなくなってしまったピシャーマを導く役目を果たしますが、自分が6本足なので歩調が合わないと苛立つという性格の持ち主です。
この三角関係が物語を大きく変えていくことになります。

しかし、ピシャーマがこの姿にされたのは神様から島で生き残る人たちを選ぶ使命を背負わされたからなのでした。
島の信仰が薄れたため様々な災いが島を襲いかかろうとしています。
島の将来は果たしてどうなってしまうのか、またフジは無事に風車祭の儀式を行うことができるのか…など見どころがたくさんある物語です。