珍しい南大東島が舞台の映画

「旅立ちの島唄 ~十五の春~」は、沖縄を舞台にしたドラマでも珍しく沖縄本島から東に約360km離れたところにある離島の南大東島を舞台にした映画です。

おそらく沖縄に相当詳しくないと南大東島という島の存在自体がよくわからないということもあるかと思います。

島に行くにはまず沖縄本島に上陸してから空路もしくは海路を使って移動します。

那覇空港から南大東空港までは飛行機なら約1時間、船ならば約13時間がかかります。

どちらにしても定期的に出ている便の本数が非常に少ないので、たどり着くだけでも相当の時間を覚悟しなくてはいけません。

そんな最果ての地であるからこそのドラマがこの「旅立ちの島唄 ~十五の春~」では展開されています。

主人公の優奈(三吉彩花)は南大東島に生まれた14歳の少女で、島には高等学校がないため15歳になったとき進学のために島を出て行くこととなります。

島を出ていくということ

「旅立ちの島唄 ~十五の春~」の一番のテーマとなっているのは、生まれ育った島を出て家族である父親を置き去りにしてしまうということと、自分自身の将来についての悩みです。

15歳というと沖縄に限らず誰しも一度は自分の将来について深く悩む年頃ですが、この映画ではそのことと島を出て行ってしまうということが二重の悩みになって描かれます。

優奈には姉がおりすでに高校に通うために沖縄本島に引っ越しして母親と二人で生活をしています。

そのため優奈は父親と二人だけで島の生活を送っており、優しい父親との絆をどう維持していくのかということもまたテーマの一つになってきます。

優奈には音楽の才能があり、少女民謡グループの「ボロジノ娘」というバンドを結成しています。

劇中にも何度か歌を歌うシーンが登場してきて、少女らしい繊細さが沖縄の民謡にとてもキレイに響いてきます。

最終的に主人公がどういった選択をするのかということに見ていてとても引かれていきますが、ラストシーンでは一つ大人になった主人公が強く旅立っていくところが映し出されます。

沖縄民謡の切なさが響く

沖縄特有の文化として全国的にも高く評価されているのが島唄などの民謡です。

沖縄音楽を描いた作品はたくさんありますが、この「旅立ちの島唄 ~十五の春~」は15歳の少女という繊細な心で綴られるというところに大きな特徴があります。

主演の三吉彩花さんはもともとは「Seventeen」の専属モデルとして活躍されてきた女優さんで、同世代の女の子たちからも憧れられる存在です。

等身大の女の子の悩みを好演しており、とても映画初主演とは思えない素晴らしさです。

映画全体も登場人物たちが大声を出したり泣き叫んだりというような大げさな表現がなく、落着いてみる事ができるので、静かにノスタルジックな気分に浸りたい夜にはとてもおすすめです。