映画化もされた有名作品

「サウスバウンド」は、奥田英朗著の小説で角川書店から出版されています。

奥田英朗作品はどれも文章がきちんとしていて読みやすいのですが、この「サウスバウンド」は物語の痛快さもあってついつい次のページを読み進んでいってしまいます。

最初は東京に暮らす平凡な家庭を描いているのですが、それが突然展開していきなり沖縄の西表島へと移住をすることになります。

沖縄が舞台として登場するのは第二部になってからなのですが、小説を読んだ人の口コミを見ても沖縄編からがとてもおもしろいという意見が多く聞かれており、西表島という舞台と癖のある父親像とがちぐはぐにマッチして物語を盛り上げてくれています。

映画化は2007年に行われており、主役の父親役に豊川悦司、母親に天海祐希といった豪華な顔ぶれで作られています。

元過激派の父親の姿が秀逸

小説版の「サウスバウンド」はあくまでも主役である小学生の男の子である二郎の視点で語られていきます。

全編を通してのキーパーソンとなるのが父親の一郎ですが、子供の目からおかしいとは思っていつつもそれがなぜなのかということをぼんやりとしかうかがい知れないというところがミソになっています。

実はこの父親は過去に反社会組織に所属していたことがあり、そのことが家族全体を巻き込んでの大騒動に発展していくのですが、そんなめちゃくちゃな行動をする父親のことを次第に「本当はすごい人だ」と思うようになるまでのことが描かれます。

話の設定がとても奇抜で面白いのですが、沖縄に移住してからは島ののんびりした空気の中でやたらと攻撃的な行動を続ける父親のおかしさが際立ち、不思議な暖かさを感じるようになります。

誰しも子供の時には大人の都合で自分の意に沿わないことをさせられた経験があるでしょうが、そんな大人たちに振り回されながらも新しい環境に適応していこうという主人公のけなげさもまた読んでいてとても共感できます。